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2014/07/23

どうしようもなくやってしまうこと、魅力、自分のかたち

「がんばろうという意志をもって成し遂げたこと」のつみかさねを「実績」と呼ぶとすると、「どうしようもなくやってしまうこと」のつみかさねはなんだろうか。

それなしでは生きられないほど本人に必要なクセとか、習性とか、仕草とか、そういうたぐいのもの。どうしてか選んでしまっている服たち、どうしてか好きになってしまうこれまでの恋人たち、身体の芯をふるわせた映画たち、話すときにしてしまいがちな顔の角度、口の形、手の動き、などなど。

習性・傾向・クセなど、一見するととるにたらないものから、その個人の生きていくセンスが見えてくる。そしてそれは往々にして、他者に発見されながらかたちづくられていく。そしてそれが魅力であるとされればされるほど、その人間のかたちが美しく良いものになっていく。

他者は、どちらかというと、「意志をもって成し遂げたこと」よりも、「どうしようもなくやってしまうこと」に信頼をおき、また魅力を感じる。(同時にドン引きしたり、嫌悪したりもする)

でも、我々はどちらかというと「意志をもって成し遂げたこと」を美談とし、「どうしようもなくやってしまうこと」には恥を感じたり、無自覚だったりする。

「どうしようもなくやってしまうこと」に対する他者のまなざしを活用し、うまく自分をかたちづくっていくことの、なんとしなやかなことか。