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2012/12/06

乗り物のこと

『Y時のはなし』の公演が無事に終わりました。おわってみて考えているのは、乗り物のことです。

昔から『天空の城ラピュタ』に出てくる巨大なゴリアテに憧れてて、あれに乗ってる人たちはなんだかんだみんな楽しそうだし、あんな巨大な鉄の塊が宙に浮くなんて、なんて自由なんだろうと思っていた。

子どもたちの遊びのノリ/快快のグルーヴは重なりあって、まるで建物ごと宙に浮かすかと思うほど。物語は航路。グルーヴは動力。そして劇場は乗り物。操縦室は、どこだろうね。児童館がゴリアテのように、宙に浮いていろんなところに行けたらいいのに。

かわいい子には旅をさせろというけれど、乗り物はメディアだし、メディアは乗り物なわけで、子どもたちがメディアを使いこなせる環境は、あらためて必要だなぁと思う。メディアというのは、言葉であれ、演劇であれ、映像であれ、紙であれ。

旅というのは素敵なもので、身体を多面化するし、想像力を拡張する。

重要だと思うのは想像力で、地球上のどこへでもいけてしまうし、どの地域のようすも見れてしまう今だから。例えば来年、サハラ砂漠で暮らしているかもしれないし、アラスカに行くこともあるかも知れない。ロマンチシズムじゃなくて、このことを皮膚が想像できるかどうか。

例えば、風船に手紙をつけて飛ばしたら、見知らぬ誰かから返事が来たとする。見知らぬ他者とのやりとりが身体に残る。見知らぬ他者ともつながりうるという可能性が実感を帯びて身体に落ちてくる。旅することはそういう感覚を身体に蓄積させていくことでもあって、それはつまり、多様な他者と自分の関わりを想像できるようになっていくことだったりする。

乗り物は、身体そのものを別の場所に運んでいく。手紙は、自分の身体の内側を紙に憑依させて別の場所に運んでいく。メディア/乗り物にのって旅をする体験の蓄積は、想像力を拡張させたり充実させたりする。そうすると、予想だにしない事態にもしなやかに応答していけるようになる気がする。

子どもたちを「乗り物」に乗せること。子どもたちと「乗り物」をつくって動かすこと。なんかこれは企画のヒントになりそうな気がする。